第44回FPD Forumは2024年5月24日、京都リサーチパーク(KRP)1号館にて開催されました。フォーラムでは、4階のサイエンスホールで基調講演が行われ、1階のアトリウムでは展示および交流の場が設けられました。

第44回京都FPD Forumの開幕講演において、北原洋明先生は、2030年のNew FPD(自由感知デバイス)がもたらすディスプレイ技術と産業の変革について議論しました。彼は、今後のディスプレイ業界は没入型かつスマート化の方向へ進化すると指摘し、量子ドット(QD)技術、Micro-LED、OLEDマイクロディスプレイがVR/ARなどの分野で重要な役割を果たすと述べました。さらに、5G/6G、AI、XRなどの新興技術が加速度的に融合し、環境保護と持続可能な発展が業界の共通認識となることを強調しました。また、2024年から2030年はディスプレイ業界の変革の鍵となる期間であり、企業は技術革新と国際協力を強化し、高度化・スマート化へのアップグレードを実現する必要があると述べました。

第44回FPD Forum:ディスプレイ技術革新と国際協力の新たな潮流

LG Japan Labのディスプレイ研究室にてOLED材料チームの主任研究員を務める佐藤竜一氏は、Micro-LEDディスプレイ技術の利点について紹介しました。Micro-LEDは、高コントラスト、長寿命、高速応答、高輝度といった特性を備え、AR/VR/MR、スマートウォッチ、スマートフォン、テレビなどのアプリケーションに適していると説明しました。

また、サプライチェーン、製造上の課題、およびコスト管理について分析し、特にチップ転写、修復プロセス、大規模生産における技術的ハードルに言及しました。さらに、Micro-LEDは透明ディスプレイやシームレスな大型ディスプレイにおいて独自の優位性を持つものの、商業化には依然として生産効率、コスト、製造プロセスの技術的課題を克服する必要があると指摘しました。

中国光学光电子行业协会液晶分会の胡春明氏は、中国のディスプレイ産業が急速に台頭し、市場シェア、技術競争力、サプライチェーンの安定性において顕著な進展を遂げたことを紹介しました。

また、日中両国の新型ディスプレイ技術、材料、設備分野での協力機会について議論し、特にMicro-LED、リソグラフィ技術、環境対応材料、高効率生産設備に焦点を当てました。さらに、高温透明PI、量子ドットエレクトロルミネセンス、青色OLEDのエキシトン利用効率向上などの最先端研究を紹介し、「DIC(中国显示产业大会)」を日中協力促進の重要なプラットフォームとして推奨しました。

第44回FPD Forum:ディスプレイ技術革新と国際協力の新たな潮流

大阪公立大学大学院都市経営研究科の小関珠音博士は、先進技術型スタートアップ(STS)が社会の持続可能な発展を推進する役割について考察しました。

彼女は、英国CDT社や米国UDC社を事例として取り上げ、コア技術を基盤とするスタートアップの課題、市場拡大の戦略、資本運用モデルについて分析しました。また、STS企業は技術の事業化に長い期間を要し、多額の資金が必要であり、市場の不確実性が高いという課題に直面していると指摘しました。しかし、特許戦略や協業モデルの活用により、これらの企業の持続的な発展が可能になるとも述べました。

さらに、彼女は政府、企業、投資機関が連携し、責任あるイノベーションを推進することで、先端技術の社会実装を加速させるべきであると呼びかけました。

第44回FPD Forum:ディスプレイ技術革新と国際協力の新たな潮流

本フォーラムでは、日本の複数の量子ドットおよびディスプレイ技術関連企業が最新の研究開発成果を展示し、業界の技術交流と協力を促進しました。

  • 昭栄化学は本フォーラムにおいて、最新の量子ドット(QD)技術を発表し、高色域・長寿命のディスプレイ材料への応用に焦点を当てました。同社は昨年9月にNanosysの北米事業を買収し、日本・福岡の糸島に新工場を建設することで、量子ドット材料の生産能力を強化し、高性能ディスプレイ技術の発展をさらに加速させています。
  • 量子材料技術株式会社(QMT):封止量子ドットを用いた微細ガラスカプセル蛍光体ディスプレイ技術を展示し、量子ドットの安定性と光学特性を向上させることで、高性能ディスプレイや次世代照明機器への応用を提案しました。
  • 株式会社きもと(KIMOTO):高性能光学薄膜およびコーティング技術に関する最新の進展を紹介し、ディスプレイ業界向けの革新的な材料ソリューションを提案しました。
  • 株式会社Quark Technology:UV-LEDおよびUV-Laser照射装置を展示し、高精度露光、半導体製造、光学検査といった分野での応用により、ディスプレイ技術の精密加工を支援する製品を発表しました。

    これらの企業の展示は、日本が量子ドットおよびディスプレイ材料分野において持つ技術的優位性を示すとともに、今後の産業協力の新たな可能性を提供しました。
第44回FPD Forum:ディスプレイ技術革新と国際協力の新たな潮流

本イベントは京都リサーチパークにて盛況のうちに閉幕し、業界関係者150名が参加しました。参加者はディスプレイ技術の未来の発展と産業トレンドについて深く議論を交わしました。

フォーラムでは、LG Japan Lab、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社、大阪公立大学、みずほ証券などの機関から専門家が登壇し、最先端の見解を共有しました。また、日本の量子ドット関連企業による最新技術の展示が行われ、ディスプレイ産業の今後の方向性について意見交換と協力の機会が提供されました。

本イベントには、松下ホールディングス、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、昭栄化学、KANEKA、大日本印刷、凸版印刷、日立造船、三菱電機、信越化学、日本電気硝子、三井化学、東山薄膜、日東電工、富士フイルム、村田製作所など、業界を代表する60社以上の材料・設備メーカーが参加しました。これらの企業が一堂に会し、ディスプレイ業界の技術革新と産業の高度化を共同で推進しました。

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